[雑記]感謝。

2007/12/29 土曜日

いつもより慌しい年の瀬ではありますが、それでも去年よりはのんびりした感じで過ごしている御月ですこんにちは。

きちんと「仕事納め」があって、今年はもうほぼ仕事がない状況ってのは、精神的にのんびりできていいなぁ、と思います。ネット関係の仕事は、どうしてもパソコンと回線さえあればいつでも仕事できる→盆も正月も関係ないぜ!てなりがちなので。

さぁ、次は家の大掃除だ……。

 

 

拍手御礼
24日11時:あんまり頻繁に更新して無いんで、そうそう変わってないかもしれませんが…(苦笑)  「まみれ」っていうか「だらけ」っていうか、全体的にそんな感じですが、楽しんでいただけると幸いです。

[小話]聖誕祭の夜

2007/12/25 火曜日

 そういえば、と思い出したのは、もう寝る直前だった。寝る準備を今頃している自分とは違い、ヒューゴはもう準備万端整えて、ベッドの上で最近はやりだとかいう恋愛小説を寝転んだまま読んでいる。寝転んで本を読む姿勢は苦しくないのか、と見るたびに思うのだが、ヒューゴにとってはまったく苦ではないようで、クリスが寝る前の時間をいつもそんな風に過ごしていた。

「どうしたの?」
「ああ、いや……」

 朝起きたときに髪の毛が大変なことにならないよう、緩く編みながら曖昧に答える。どうやら先ほどの『思い出し』は無意識のうちに声に出してしまっていたらしい。独り言にしかすぎない言葉でもきちんと捉え、会話のきっかけにしてしまうヒューゴの律儀さに、相変わらずだな、と少しだけおかしくなる。
 紐できちんと結んでから、ヒューゴの隣にもぐりこむと、ぱたりと本を閉じてヒューゴがまっすぐにクリスの方に向き直る。至近距離で見る緑柱石の双眸がいつもよりなぜかやさしく見えて、妙に気恥ずかしい。
 それは、ふと脳裏をよぎった懐かしい想い出のせいだろうか。

「そういえば、久々だな、と思って。それだけなんだが」
「何が?」
「聖誕祭の夜を、誰かと一緒に過ごすのが」

 いつもより少しだけ豪華な食卓を囲んで。暖かい暖炉の前で、いろんな話をして。
 両親が揃っていたときはずっとそんな風にこの夜を過ごしてきていた。今日ばかりは特別といろんな話をしてくれる父に甘えて、「今日はもう寝なさい」なんて母に苦笑されて。
 それはもう遠い遠い想い出で、ひどく朧になってしまっているけれども。

「……すごく楽しかった、ありがとう」

 父と母が相次いで亡くなってから、この家に居ること自体がひどく減った。ただ独り残された屋敷はひどく寂しく、すぐに騎士団付属の学校へ入ることを決めたからだ。寮に入ってからは帰省自体が稀で、ずっと独りで過ごしていた。
 騎士団に入ってからも、戦場が選択肢に加わっただけで何も変わらなかった。それどころか、いつの間にかそれが当たり前になってしまっていた。

「……クリスさんて可愛いよねほんと」
「何がだ」

 率直な感謝にそんな茶化すような答えを返されて、クリスは僅かに唇を尖らせた。暖かいベッドのお陰か、それともちょっと普段より多めに飲んだ葡萄酒のせいか、どちらが理由かは分からないが、横になったとたんひどく眠くなっているような気がする。いつになく素直な反応も、そのせいかもしれない。

「なんでもないよ。ただ……クリスさんに楽しんでもらえて、俺も嬉しかった。それだけだよ」
「そうか」

 少しだけ意味深なヒューゴの笑みが気になるものの、ゆっくりと押し寄せる睡魔が勝った。間近に感じるヒューゴの温もりに頬を預けて、そっと瞼を閉ざす。

「今度は、ヒューゴの番だな。新年はカラヤ流でお祝いしよう」
「それはやめたほうがいいよ。多分」
「何故だ?」
「だって、三日三晩飲み明かすんだよ。クリスさんの仕事に差し支えちゃうよ」
「……それは困るな」
「でしょ?」

 くすくすと漣のように降ってくる笑い声が、なんとなくくすぐったい。

 ああ、なんて幸せな。

「おやすみ、クリスさん」
「おやすみ、ヒューゴ」

 

 

 
 枕元に置かれたプレゼントに気付くまで、あと数時間。

[雑記]付足。

2007/12/18 火曜日

久々の更新に言い訳めいた付け足しをしなければならない現状が、ちょっとばかし情けない御月ですこんばんは。

というかですね。
昨日更新の「Messias」は、本当は50音小話「メサイア」として更新する予定だったんですね。
ところが、出来上がったものを見たら、内容量が12KB……最長と思われた「人間の欠片」9KBよりさらにでかいわけでして。まじめな話、これはさすがに「小話」じゃねぇわ、ということで急遽タイトルを変更し、小話「メサイア」をアップしたわけです。

小話「メサイア」は、「Messias」直後を想定してます。ヒューゴと話して、ほっとしたクリスを見守るヒューゴの話ですね。

 

一応、天月公司では「ヒューゴがゼクセンへ行き、クリスの押しかけ女房になる→一緒に旅立つ」という設定の話が多いですけども、「Messias」含め同設定のものは続いている話ということになっています。
……今のところ、矛盾は無いよね……?

[小話]メサイア

2007/12/17 月曜日

 ひどく疲れていたのだろう、クリスは軽く食事を取っただけで、すぐに深い眠りについてしまったようだった。ソファに深く座ったまま、ゆっくりした呼吸に合わせて肩から滑り落ちる銀髪がさらさらと揺れる。
 起こさないように気をつけながら、ヒューゴはその隣に座った。慎重な手つきでクリスの体を傾けさせ、自分のひざの上にクリスの頭がくるように調整する。
「うぅん……」
 呟きともうめきともつかない声が、クリスの唇からこぼれる。起こしてしまったか、と顔を覗き込んだが、眉間に深いしわを刻んだままクリスは眠っているようだった。どうやら先ほどのは寝言ということなのだろう。ほっとすると同時に、どんな夢を見ているんだか、と呆れもする。夢の中でぐらい、もう少しこう……安らかになってもいいはずなのに。
 口には出さず、小さくため息だけをついて、ヒューゴは寝室から持ってきた毛布を、クリスの上にゆっくりと広げた。毛布からはみ出したクリスの両肩は、そこに課せられる重責とは正反対に、ひどく細く頼りなくさえ見える。

(可哀想に、ね)

 半ば以上< 英雄>としての責務を放棄している自分とは違い、クリスは現在進行形だ。決して逃げようとしない潔い精神は、多くの人が好意を持つだろうが、時と場合によってはクリス自身への害となる。誰にも肩代わりを許さず、独り抱え込むその姿は、あとわずかという時間制限が無ければ決して容認し得ないものだ。
 全てを救おうと足掻く彼女の中で、彼女自身も「救うべき人間」に入っていればいい、と心の底から願わずにはいられない。身を削るのを当然と考えている彼女は、他人に優しく……限度を超えて自分に厳しい。

(クリスさんは、優しすぎるから)

 人を救うのは、人ではない。本当の意味では、自分自身以外誰も救えない。早くそれに気付いてくれればとも思うが、騎士として「市民の剣となり楯となる」のが呼吸するように当たり前のクリスに、それも酷な話なのだろう。ゼクセンを離れ旅をするようになれば、また少しは変わるのかもしれないけれど。

(……さて、どうしたものか)

 クリスの朝は早い。そもそも激務の連続なのだから、きちんとベッドで寝て疲れを取ったほうがいい。けれども、今ここで起こすのもなんだかなぁ、とも思う。最初からベッドへ連れて行けばよかったという反省がちらりと脳裏をよぎるが、今更それはしょうがない。とりあえず自分も風邪をひかないよう、少し毛布を引っ張って、ヒューゴも眼を閉じることにした。

(……おやすみなさい、クリスさん)