[雑記]友人。

2006/9/26 火曜日

今週末、高校のミニミニ同窓会が行われるのですが、今から楽しみな御月ですこんばんは。そのためには、目の前の仕事を片付けていかなければならないんですけどね。
同窓会といっても、クラスの人ではなく、クラブの先輩・後輩と集まるんですが…クラスの人の顔と名前をさっぱり覚えていない御月にとっては、大事で貴重な友人です。卒業してからもたびたびこんな風に集まっていたのですが、今回は本当に久々ということで楽しみなのです。今年・去年とちっとも会ってなかったですからねー。
面白いもので、本当に年に1回会うか会わないか、という仲なのに、会うとすぐに昔に戻った感じになるんですよね。こういう友人は本当に大事だよなぁ、としみじみ思います。

 

今日の写真。
猫さん。三宮商店街(センター街の西側から元町までの間は『商店街』だったはず)にいた猫さん。意外に思われるかもしれませんが、都心部のほうが猫が多い気がします。
多く行きかう人通りにも臆したりせず、堂々と辺りをうかがう猫さんで、結構近くから写真を撮らせてくれたのですが…撮影した人間の腕が悪いせいか、ボケなかったのはこの1枚だけでした。
…要努力。

[雑記]散歩。

2006/9/24 日曜日

最近ダイエットのためにほぼ毎日こんにゃく入り献立と散歩を欠かさない御月ですこんばんは。とりあえず…そろそろこんにゃくには飽きつつありますが。メニューは刻みこんにゃく入りパスタが刻みこんにゃく入り炒飯が1日交代で出る感じ。もうちょっとしたら、「ひたすらこんにゃ」くから「ひたすらキャベツ」に変えようかなぁ。あんまり代わり映えはしませんが。

 

今日の写真。
二宮の猫さん。9月はじめに二宮で見かけた猫さん。随分と懐っこく、かなり至近距離で撮ることができました。ばしばし撮ってるときに、地域猫ボランティアみたいなことをやっている人が話しかけてきはったのですが、その話によると、耳に小さく切込みが入っているのは不妊手術済みのしるしなんだとか。
…人間にとっ捕まって、ニャンタマ取られて、人間不信になってもおかしくないと思うんですけどね。随分とのんきな猫さんでした。

二宮の猫さん(きりっとver)「カッコ良く撮ってやぁ~」
「…さっきのポーズとどっちがええ?」

 

 

 

更新。
こっそり地味に、雑記でやってる50音小話のあ行を再録しました。再録を更新といえるかどうかは微妙なので、トップ及び更新記録には載せていません。気分的には反則なんですが、やはり見直しなしほぼ一発という小話の中には随分と気になる箇所もあり、多少手直ししています。話の流れはまったく変わっていませんが、ちょこちょこせりふや状況説明を付け加えたり変更したりしました。
以下解説もとい後書き。

愛していると囁けたなら。
多分このタイトルがうまく思い浮かばなかったら、50音小話なんてやらずに普通の単発小話になっていたと思います。かなり原点に返って、すれ違いヒュークリ。クリスに対しての態度が決められないヒューゴと、同じようにどのように接していいかわからずぎこちないクリス。その態度を見て余計にぐるぐる考え込むヒューゴ……みたいな。一応、クリスと一緒に居るのを目撃されたのはパーシヴァルで、二人の間柄は「ただの同僚」という感じ…になってますかね、きちんと。

色褪せた月。
エンディング後設定。リクエストで書いた新婚ものと同じ設定になっています。つか、あれはなんだかいろんな小話に共通する設定になってますね。基本的にヒュークリでは最初離れ離れ→ヒューゴの押しかけ主婦→共に旅立ちと、そんな未来になればいいなぁと思ってますんで。

現の夢
リムは根本的に10歳と思えんぐらい健気ですよね。もうね…大好き!
…えぇと。王宮動乱から新女王即位、奪還までおおまか1年以上はかかっている=その間にリムの誕生日は1回はあるはずだ、という想定で書いています。他の幻水5サイト様で、やはり王子軍側の騎士(カイルやミアキスなど)は多く描かれているものがあるんですけど、普通に考えたら、動乱の起きるそのときまで、ザハークやアレニアも同じ女王騎士で、リムや王子にとっては家族のように親しい間柄だったのではないかと。だからこそ悲劇が際立つというか。にもかかわらずゲーム中では、あんまりザハークやアレニアとリムの間って描かれてないんですよね。家族のように親しんでいたからこそ、「裏切り者」と罵るリムの哀しみとか、『すべてを奪還する』というキャッチコピーに対して決して取り戻せないものというか……解説になってないや。
つか、まだ子供だとしても、ザハークもアレニアもアルシュタート女王に対するのと同じくらいの敬意と忠誠を、本来はリムに捧げるべきなんじゃね? あまりにも『女王騎士』が「リムスレーア女王」をないがしろにする様が、気になるんですよねー…。

永遠の恋人
…すみません、タイトル変更してしまいました。
最初の構想では、「戦いが終わって50~100年後ぐらい、お互い恋人を失ったゼットとロディが毎年同じ場所で再会して、それぞれ恋人が好きだったものを飲みながら惚気あい、再会を約して再び旅立つ」というものだったんですが。
ロディもゼットも、「人間ではない」以上、遠い将来にはおいていかれるというのは必然じゃないかと思っています。そんなときに、お互い残された家族(アウラは孤児とか引き取って育ててそうだし、セシリアにとってはアーデルハイドの国民すべてが家族みたいなものでしょうから)と、お互い「変わらない存在」に、随分と救われているんじゃないかと。そんな友情話のはずが…ま、これはこれでいいものができたと思ってますけど。

折り紙
ゴドウィン側の女王騎士とリムが仲良くたっていいじゃないか企画。ついでにザハークは生真面目で頑固で融通がきかなくて器用貧乏じゃないか疑惑。本当はリムを喜ばせようと、子供にうけるような折り紙とかあやとりとかをこっそり習得していながら、なかなか披露できない(要するにタイミングをつかめない人)でいて、このときリムにようやくお披露目できた、というどーでもいい裏設定があったり。

[小話]他言無用

2006/9/21 木曜日

「どうかお引取りを」
 柔らかく穏やかに、表面上はどこまでも友好的な姿勢を貫いての言葉に、返ってきたのは険しさを多分に含んだ眼差しだった。ぎゅっと引き絞られた口許はかたくなな意思を表しているようで、なかなかに素直で手ごわそうに見える。
 それでも、パーシヴァルは笑みを絶やさず、もう一度繰り返した。
「クリス様は、今は大変にお忙しいのです。どうかお引取りを」
「……」
 言葉こそは無いが、緑柱石の双眸は何よりも雄弁に、少年の内心を物語っていた。愛する人に会いたいというのは自然な心の発露だろうし、邪魔をするパーシヴァルの存在が心底うとましいに違いない。同僚の『烈火の騎士』とはまた異なるその素直さは、平素から「他者の目に映る自分」を意識し生きている自分にとって、不可解であり強烈な魅力でもあった。クリスに対する敬意はいささかも衰えないが、それとはまた違った敬意を彼にも払っている。だからこそ、まだ幼いとさえいえる異民族の少年が英雄としてまつりあげられることに対し何の異論も挟まないし、事実それだけの力があると信じている。
 普段ならば、若い英雄のためにパーシヴァルは協力を惜しまない。いくつかの遺恨はあるけれども、それはそれ・これはこれと割り切るだけの強かさも備えているし、何よりもヒューゴはクリスにとって「大事な」人間だ。恋人という意味でも……「同じ生き物」としても。
 けれど、今回ばかりは事情が違った。
「では、私も忙しいので。これで失礼します」
「クリスさんは……!」
 扉を閉める寸前、引き止めるように放たれた小さな叫びは、本当にクリスの身を案じてのことだろう。
 デートと呼ぶにはささやか過ぎるお茶会の約束が、反故にされるのはこれが初めてのことではない。クリスもヒューゴも、それぞれ多忙な身であるし、戦況などというものは相手の出方や状況によって幾らでも変化する。けれど、「約束を破る」ということを、クリスが自身で告げに行かないのは、これが初めてだった。だからこそ、多忙ではなく体調が原因ではないか、とヒューゴが心配するのも、不思議ではない。そうしたヒューゴの心の動きはよく分かるし、応えてやりたいのも山々だが……他ならぬクリスが他言無用と命じたことを、パーシヴァルは断じて口にするわけにはいかなかった。
「……申し訳ありませんが、お引取りを」
 女性ならば蕩けてしまいそうな優美な笑みを浮かべ、洗練された仕草で軽く頭を下げたパーシヴァルは、反論の声が上がる前にするりと扉を閉ざした。すかさず、かちりと鍵をかける。ビュッデヒュッケ城は古く建てつけが悪いため、鍵に意味があるのかないのか微妙なところではあるが、さすがに扉を蹴破って入ってくることはないだろう。何とか追い返せたことに、ほっと息をついた刹那、部屋の奥から小さく掠れた声が上がった。
「……帰った、か……?」
「えぇ、何とか。随分と睨まれてしまいましたが」
「そうか……」
 机の脇においてあるソファの上に、ぐったりと横たわったまま、クリスが力なく呟いた。天井を見上げるその眼差しに普段の力は無く、焦点すら合っていないように見えた。秀でた額にびっしりと汗を浮かべ、顔色は白皙を通り越して紙の様に白い。青ざめた唇がわずかに動き、溜息のような囁きが零れ落ちた。
「……お前にも、悪いことを頼んだな……」
「お気になさらず。それよりも……本当に、あまり無理はなさらないでください」
 書類を届けに部屋に入ったときに、パーシヴァルを迎えようと立ち上がり……崩れ落ちたクリスを見たときは、本当にぞっとした。おそらく過労からくる貧血なのだろうけれど、それにしたって心臓に悪い。騎士である以上死に直面することは多く、自分自身が死ぬことはそんなに怖くもないのだが、もっとも死から縁遠そうなクリスの有様は、パーシヴァルの肝を心底冷やした。
「……そういえば、以前も似たようなことがありましたね」
「そうだったか……?」
「えぇ、ルイスと一緒に、ブラス城からビネ・デル・ゼクセへ向かうときに。そういう意味ではクリス様は初犯ではなく、これで前科2犯ということになりますから……以後は身を謹んでくださいね」
 あまり真剣に言うと今後「ごまかす」などという方向性で努力しかねない人だから、軽口の中に紛らわせて、そう告げる。緩やかに頷くクリスがどこまで本気で生活を改めてくれるか怪しいものだと思いながら、パーシヴァルはクリスの机の上から持っていくべき書類をより分けた。ついでに、自分が持ってきた書類もその上に乗せる。幾らクリスが大丈夫だと主張しようと、今日ばかりはゆっくり休んでもらわなければならない。
「それにしても……なぜヒューゴ殿には内緒に?」
「……心配を、させるだろう……?」
「ヒューゴ殿は心配したいのだと思いますけどね」
 自分が同じように隠し事をされれば、きっと烈火のごとく怒るのだろう。なぜもっと頼ってくれない、無茶をするな、こうなる前に相談しろ……散々説教がましく口にして、最後に「心配したんだぞ」と本音をこぼすその様を、現実の思い出のように脳裏に描くことができる。そしてその推測は間違っていないはずだ。
 にもかかわらず、彼女はその「怒られる」行動を彼女自身、まったく悪気無く心底それが正しいと思ってやってのけるのだから、まったくたちが悪いというかなんというか。
「私が居てはクリス様もごゆっくりできないでしょうから、そろそろ退散しますが……本当に、休んでくださいね」
「どうせ、この調子じゃ動けやしないさ。ありがとう」
「いえ、大したことはしていませんし……それにきっと、後で怒られてしまいますからね」
 真意が曖昧なパーシヴァルの言葉にクリスが小さく眉を寄せるが、パーシヴァルは補足の言葉は紡がなかった。纏めた書類の束を手に、扉へと向かったパーシヴァルだったが、鍵をはずす直前にくるり振り返る。
「……クリス様、林檎と葡萄でしたら、どちらがお好きですか?」
「林檎、かな……?」
「そうですか。では失礼します」
 貧血で思考がどこかぼやけているのだろう。問われるがままに素直に応えるクリスの声に、再び笑みを浮かべて、パーシヴァルは今度こそ扉の鍵をはずした。歩き出した先は、書類の届け先であるサロメのもとではなく……食堂である。
(……俺も随分とお節介焼きになったものだ……)
 知らず苦笑がこぼれるが、決して不愉快ではない。
 確かに他言無用と命じられたし、それを破るつもりもない。それでも、あの少年は聡いから。林檎のゼリー二人分を手渡し、「クリス様は林檎がお好きなようですよ」とでも囁けば、きっと意図を理解してくれるだろう。素直に喜びを表し、素直にクリスのもとへ戻っていくに違いない。
 何かとお節介をやきたくなるような、二人の間が歯がゆいのか……それとも、自分が甘くなったのか。どちらにしても構わないか、と再び笑みを浮かべて、パーシヴァルは食堂へ向かう足を速めたのだった。

[雑記]晩酌。

2006/9/20 水曜日

今日大丸に行ったときに、日本酒とチーズをつい衝動買いしてしまい、晩酌を堪能した御月ですこんばんは。お酒が美味しいってのは健康な証拠。いやマジで。ミニサイズのお酒の中で気に入ったのは船中八策しかなかったんですが…まぁ、味は普通というよりは好み範疇からは微妙だったのですが。やっぱり、剣菱にすればよかったかなぁ…。チーズはミモレットとイエトスト。ミモレットはチェダーチーズの濃い味、イエトストは…キャラメル味? ホントだって! ホントに見た目も味もキャラメルっぽいチーズだったんですよ!
初体験でしたが美味しくいただきました。これからもちょっとずつあれこれ試してみようかなぁ…。ただ、チーズって、あたりはずれがすっげぇありそうなんですよね。マズイというよりは、単純に「慣れてないから受け入れられない」というだけなんでしょうけど。
………まぁ、ちょっとしたスリルだと思えば楽しいのかもしれませんけども。

で、なぜ健康について力説かといいますと。
実は日曜日、垂水から淡路島まで、明石大橋を歩くというイベントに参加してました。楽しく1時間半ほど歩いて写真もばしゃばしゃとって、友人とたこ焼きとビールで軽く祝杯を挙げ、フェリーに乗って帰る途中に……急激な貧血で倒れかけてしまいまして。まぁ、ゆっくり休んで回復はしたのですが、当然友人にはその後の遊ぶ予定を却下されて、すごすごと帰宅したのです。
…最近、生活が微妙に不規則でしたからねぇ…。いわゆる「大晦日」をそれなりに目の前にするような(この言い回しってセクハラなのかなぁ?)、まぁそんな年齢になっているわけでして。無理は利かないことを念頭に、もうちょっとうまく仕事を配分できればなぁ、と反省仕切りです。

橋の中。ちなみに橋の中はこんな感じ。意外と広かったです。
橋の上から撮った写真もあるんですが……なんつーか。やっぱり肉眼で捉えた「橋から見えた海の広がり」とか、違うんですよね。山とか船とかビルとか、海と一緒にカメラで撮るとこぢんまりしてて「こんなんじゃないんだよなぁ…」と。

風が強かったのは、台風接近中だからか海の上だからか、どっちだろう?

[小話]滄海成桑田

2006/9/18 月曜日

 ぱちん、と庭の方で鳴る鋏の音に、私は小さく目を伏せました。ぱちん、ぱちん、と続けて音が鳴ります。おそらく庭で、息子が薔薇の手入れをしているのでしょう。切り取った薔薇を邸内に生けたところで、見るものはほとんどおりませんが、それでも…もはや身についた性なのでしょう。そしてそれは、私も変わりません。私の主人にあたる方はほとんどこのお屋敷には居らず、旅から帰ってこられるのはごくごく稀なのです。
 私の生き方というものは、余人から見れば退屈でつまらないものとよく受け取られます。事実私も、若い頃は今の私と同じように毎日黙々とお屋敷で働いていた父の姿を、内心馬鹿にしていましたし、同じような轍は踏むまいと反発もしていました。ところが、何時の間にやら父の跡を継ぎ同じように生活しているのだから人生というものは不思議なものです。ひとつには父の言い聞かせもあったのかもしれませんが、父にこれだけの思いを向けさせるものに対して、興味があったこともひとつでしょう。
 今は亡き私の父と、跡を継いだ私と家族は、とあるお屋敷に勤めさせていただいております。主の家といいますのは、このゼクセンでも大層な旧家でございまして、今ではかなり珍しい「貴族」の家柄でございます。もちろん今のゼクセンにおいて「貴族」とはほぼ名ばかりになっておりまして、商人のギルドが政治の実権を握って久しい昨今、家柄よりも財力が物を言う時代になっております。ですから、隆盛著しい成り上がり者に身売りすることなく、細々と「貴族」であり続ける主家と、それにお仕えし続ける私の存在は、時代の流れからすれば取り残された遺物にすがり続けるものと見えるのかもしれません。
 けれども、私はそれはそれで良いのではないかと思うのです。少しぐらいは私のように、伝統にこだわり続ける者が居ても、世間の迷惑になるものでもありません。ましてや…新しいものを否定するわけではありませんが、常に移ろい変わり行く街並みと人々は、私のお仕えするお嬢様にとってはいささか辛いもののように思えたのです。何時お帰りになっても変わらずお迎えすることで、お嬢様の安らぎになれれば…私は、そう思うのです。幸いといっては何ですが、私の考えに家族も同意してくれまして、私と妻と息子・娘と4人、敷地の離れにある小さな建物に住み、いつかお嬢様がお帰りになられるその日を心待ちにしながら、邸内を整え続けているのです。

 

「父さん」
 いつの間にか庭から戻ってきた息子の声に、私は壷を磨いていた手を止め、はっと顔を上げました。うっかり落としてしまわないよう、台の上に慎重な手つきで壷を戻してから振り向きます。何しろ由緒あるお屋敷ですから、飾っている壷や絵画など調度品には歴史と価値があるものが多いということもありますが……何よりもお嬢様にとっては「我が家」を構成する大事な一部でもあります。もちろんお嬢様は優しい方ですから、「たいしたことじゃない」と笑い飛ばされるでしょうが、大事なお嬢様にそんな心遣いをさせるわけにはいきません。
 振り向いた先には、私と同じ服に身を包んだ息子が立っていました。両手にはいっぱいの薔薇を抱えており、漂ってくる馥郁たる香りはなんとはなく心を華やかにさせます。
「今日はこれにしようと思うんだけど、いいかな?」
「それは君に任せてあるから、好きにしなさい。それにしても……」
 ほんの少しだけ笑みを浮かべて、私はその薔薇を見つめました。まだ咲ききっていない薔薇は、清楚で潔癖な少女を連想させるような可憐さがあり、お嬢様を思い出させる空気を漂わせています。
 今は亡き先代の奥様はこよなく花を愛された方でした。お体が弱く、屋敷からあまり外に出られない代わりにご自分で庭園を整えられ、多くの花々が競うように乱れ咲く庭は、私も内心自慢に思っていたものです。奥様がなくなられた後、お嬢様は少々(ええ、少々ですとも!)手先が器用ではなく、ご自分で手入れをして枯らすよりは、と私たちを信頼して手入れをお任せくださいました。中でも一番気にかけていらっしゃったのは、ちょうど息子が手にしている薔薇でした。これは、奥様がお嬢様のために、と特に丹念に育てていらっしゃったものなのです。
「……そうですか、君もですか」
 何時に無くうきうきと献立を考える妻の姿を思い起こして、私は小さく笑いました。どうやらこの「予感」は私だけではなく、家族全員が感じ取っているようでした。お嬢様は長く長く旅をしておられて、何時このお屋敷に帰ってこられるかはまったく不定期で分からないのですが……なんとなく、私も今日帰ってこられるような、そんな予感がするのです。
 ふふ、と共犯者の笑みを浮かべて、息子は満足そうにきびすを返しました。せっかくの薔薇をどこへ一番に飾るか、もう決めてあるのでしょう。
「…では、私も頑張らなければなりませんね」
 そうひとりごちて、私は壷磨きを一時中断して玄関へと向かうことにしました。お嬢様はお酒よりもお茶を好んで飲まれる方でして、邸内にお茶を切らしたことはありませんが、どうせならば少し珍しい種類のものなど各種取り揃えたほうが良いでしょう。大陸のあちこちを旅されるお嬢様ですから、ゼクセンでは珍しくてもその地では珍しくないなんてことは多くあるでしょうが、やはり同じ種類だとしても、旅先で飲むのとお屋敷で落ち着いて飲むのとでは味わいもまた変わるに違いありません。
 ゼクセンで茶葉を扱う店をどのように回るか、脳裏で計画を練りながら玄関を出ます。整えられた庭を横切り、お屋敷の門を押し開こうとした刹那、ちょうどその前に立って感慨深げにお屋敷を見上げている方とふと目が合いました。驚いたように紫水晶の瞳が大きく丸くなり、ついで柔らかく細められます。さらりと揺れる銀の髪も、陽にあたっているにもかかわらず白いほっそりとしたお顔も、前回……3年前にお会いしたときとまったく変わっておられないようでした。
「……びっくりした…」
「そうですか? 私たちはちょうど今日、帰ってこられるような気がしておりましたよ?」
「凄いな!」
 ふわりと綻ぶその笑顔は、子供の頃と同じあどけなさを残しておられるようでした。初めてお会いした頃からもう数十年の時がたっているにもかかわらず、お嬢様の変わらぬご様子に、私は嬉しいような悲しいような、なんともいえない気持ちを感じました。
 お嬢様が幼い頃、お嬢様は僭越ですが私を兄のように慕ってくださいました。しかし、今の私とお嬢様では父と娘にしか見られないでしょう。そしてさらに時間が経てば、祖父と孫娘のように他人からは見られるに違いありません。
 神の祝福と呪いとを身に受けたお嬢様は、時の流れから切り離されて永遠に「変わらず」あることを定められてしまっています。ですから余計に私たちは、お嬢様のために「変わらぬお屋敷」の姿と空気をとどめようと懸命なのです。
 私たちだけでは、お嬢様の安らぎには不十分かもしれません。けれども、お嬢様には「同じ方」がおられます。お嬢様と同じ祝福と呪いとを受け、お嬢様と同じ歩調で永遠を歩める方が。
「お久しぶりです、ヒューゴ様」
「えっと、俺には敬語はいいって前言ったけど…」
「そうも参りません、と私も前回申し上げましたよ?」
 前回も、その前も交わした毎度のやりとりに、ヒューゴ様は笑み崩れました。変わり行く世界の中で、変わらない場所と変わらないやり取りは、お嬢様やヒューゴ様にとっては貴重なものなのでしょう。ですから私も、何度その必要はないとお嬢様自身に制止されながらも、心からの敬意とほんの少しの様式美を持って、深々と頭を垂れるのです。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「……ただいま」

 はにかんで答えられたその言葉と笑顔も、変わらないしるし。

[雑記]終了。

2006/9/16 土曜日

そんなこんなでようやく連続修羅場が終了し、ほっと一息の御月ですこんにちは。…前回の日記読むと、「今週中には」なんていっておきながら、結局それからまるっと一週音沙汰無しだったわけでして…申し訳ないです。期待している人がどれだけいたのかはわかりませんが、それでも見捨てず訪れてくださってた方はいるわけでして。あれやこれやと片付いたので、ゆっくり創作に取り掛かりたいと思っています。大陸記とか…大陸記とか。あと一息なんですけどねぇ…。

……それにしても、起きたのが14時前って、いくらなんでも寝すぎじゃね?

 

今日の写真。
ご近所。お盆に実家帰って、散歩に出たときの写真です。
つか、実家から徒歩10分でこれってどうよ。
神戸市とは思えない風景ですが、これもまた神戸市の一面ではあります。

[雑記]現実逃避。

2006/9/6 水曜日

月あけて2日に修羅場が終了、ほっとしたのもつかの間、またもや新たな締切りが切羽詰っている御月ですこんばんは。余裕があってのんびりできたのって、2日だけなんですよね…。もっとも、その間に、8月半ばに購入したものの未開封だったパソコンを、新しく買った机に設置して、椅子も買っちゃったりなんかして、ついでに家の中を軽く片付けたり、届いたもののまったく読む暇が無かった本を持って喫茶店に行って、ケーキセット食いながら読書という贅沢な時間をすごしたりはしましたけど。あぁ、短い休暇だったなぁ…。

で、時間に追われているにもかかわらず、なぜかこんなものを作ってしまいました。

 

 

…バナーです。何に使うか不明ですがとりあえず作ってみました。つか、なんで忙しい時に限って、ものすごくどうでもいい、後回しでぜんぜんかまわないものを作ったりやってみたくなったりするものなんでしょうね。リンクページが充実しているとか交友関係が広いとかはまったく無く、現実同様微妙に引きこもっているサイトなので、用途なんて無いんですけどね。なんとなく。

とりあえず、今週いっぱいは再び失踪する予定です。なんとか書きかけの小話とか載せられたらいいんですけどねぇ…。