[雑記]梅。

2006/6/28 水曜日

梅ジュースができあがり、ホクホクの御月ですこんばんは。実際はもっと早く出来上がってはいたのですが、ようやく今日、保存用のペットボトルへ移し変えて冷蔵庫でお休みさせました。…もっとも、多分御月はほとんど飲みませんが。御月が飲む前に、梅やお酢が好きな相方が飲みつくしてしまいそうです。
残った梅はどうしたもんですかねぇ…調べてみると砂糖と一緒に煮詰めてジャムにするというのが多いのですが、ジャムにできるほど水分が無いというか。なんかもう、エキスが出尽くしてしわしわというよりカリカリなんですよね。…まぁいいや、明日試してみよー。

きりっとした表情?そんな今日の写真は、神戸は南京町の猫さん。
撮影したのは今日ではありませんが…今日のような微妙な天気で、うまく撮影できてるかどうかは微妙。
観光客慣れしているのか、随分と近寄っても平気な顔でこちらを見つめ返していました。さすがに撫でさせてはくれませんでしたが。あー、猫の細い毛が密集しているおなかをもふもふしたいなー。

拍手御礼。
26日0時:ありがとうございます! 直球勝負の応援ありがとうございます! なんだか最近微妙に浮気気味ではありますが、なんだかんだと原点がヒュークリなんだなぁ、としみじみ思ってます。結局戻ってくるのはヒュークリというかなんというか。まだまだ妄想のネタは尽きてないんで、これからもまったりがっつり(どっちだ!?)ヒュークリでやってきます!

[小話]永遠

2006/6/27 火曜日

 窓から差し込む光が柔らかい。もうじき春なのだろう、時折窓から吹き込む風さえも優しい。それはまるで、この世を去る彼女に、最後まで優しい世界を見せたいと思う自分の気持ちそのもののようだった。
「……ごめんなさい…」
 窓の外に視線を向けたまま、小さくつぶやいた老女に、傍らに座る青年は黙然とうつむいた。言葉に出せば何もかも、感情の荒波に押し流されてしまいそうで、口を開くことすらできない。『置いていかないで』……そう叫んだところで、消え行く生命の炎をとどめることなどできやしないとわかっているのに。
「そんな…なきそうな顔、しないで?」
「………ッ!」
 そっと自分の手の上に乗せられた彼女の手は、優しく温かい。それがもうじき、確実に失われてしまうのが、たとえようもなく恐ろしかった。
 昔は、こんな風に取り残されることなど思いもよらず、同じように肩を並べて旅をしていた。けれども…少しずつ、歯車はきしみ、ずれてゆく。限られた時間の中で生きる彼女と……決して朽ちない鋼鉄の骨と水銀の血液を有する、人が生み出した『魔族の亜種』たる自分と。
 …どうして、愛してしまったのだろう。こんな感情を知らなければ、祖父に抱いたのと同じ穏やかな愛だけあれば、ひとり置いていかれる絶望を知ることもなかった。
 けれども………出会わなければ、知ることのできなかった幸せも、ある。
 心を読んだかのように、彼女は穏やかに微笑んだ。
「大丈夫ですよ。あなたは、ひとりじゃないでしょう?」
『この街に住む皆が子供、わたしとあなたの子供ですから』
 国を統べるものが子をもうけないなど、普通ではありえない。けれど彼女は、それすらも受け入れ、躊躇う自分の背中を押してくれた。『ちょうどいいきっかけになりますね』…そう笑って、周囲を粘り強く説得し、アーデルハイドを共和国へと変えていった。それが叶ったのは彼女の努力だけではなく、彼女自身慕われ、敬愛されていたというのもあるだろう。変わらぬ姿で居続けるものなど、排斥されてもおかしくはないのに、彼女の隣に居続けることができたのも、ある種彼女への信頼の上に成り立っている部分もあったに違いない。
 もちろん今はそれだけではないけれども…きっかけは。
「絶対に絶対、大丈夫です…だって、わたしたちはもう『家族』なんですから。あなたがいつ帰ってきても、きっといつも迎えてくれますよ。そうじゃなかったら、遠慮なく叱ってあげてくださいね」
 この街は彼の『家』で、街の人々は『家族』で。
 それは彼をここに縛るものではなく、いつでも帰ってきて羽を休めてよいのだという…約束。
「それと……もしかしたら、これから先また誰かと恋に落ちることがあるかもしれませんけど…」
「そんなこと…ッ!」
「『もしかしたら』ですよ?」
 ありえないと言い募った青年に、翡翠の双眸を柔らかく細めて、彼女は穏やかに微笑した。嗚咽をこらえる青年の髪を、なだめるようにそっと触れる。
「そうしたら、ぜひ紹介してくださいね。だって、大切なあなたの…大切な人なんですから」
「…………それは、約束できないよ。無理だ」
 震える唇をかみ締めて、彼女の両手をそっと掬い取る。小さくて細くて柔らかくて…アームを握り、あるいは剣を振るい荒野を渡る「渡り鳥」とはまったく異なる、繊細な手だ。けれどこの両手が、自分を守り、導いてくれた。
 この手を離して、生きていけるはずがない。己の正体を知り絶望していたときも、人の悪意に立ちすくんだときも、いつだって彼女が居てくれたから、再び羽ばたくことができた。
(笑えてる?)
 彼女を喪って生きていけるとは思えない。けれども、いつもいつも人を気遣っていた彼女を、最後まで心配させたくなかった。不恰好であっても、彼女に焼きつく最後の表情は、笑顔でいたいから。
 精一杯の笑みを浮かべる。
「俺の…恋人は、永遠にセシリアだけだよ」
「先のことはわかりませんよ?」
「もう、俺が、そう決めたから」
「………頑固ですねぇ…」
「セシリアがね」
「…もう」
 むぅ、と眉を寄せるその表情は、であったときと変わらない素直さで内面の感情を豊かに映し出す。
 くるくると表情を変える彼女を、ずっと見ていたいと、どれほど願っただろう。時が止まればいいと、何度祈っただろう。決して叶わないと知りつつ、それでも渇望してしまうほど……彼女を、愛している。

(ああ、どうか)

「これからも、ずっと一緒だから。俺が生きている限り、ずっとずっと一緒だから。……いや?」
「…まさか、いやだなんて思うわけがないじゃないですか」

(もしも、神様が本当に居るのなら)
(彼女の魂をあなたのもとへ返さない俺の傲慢を許してください)

「じゃあ、改めて…よろしくお願いしますね…」
「これからもよろしくね」

 そうして。
 ふわりと綺麗な笑みを浮かべた彼女の、長い睫がゆっくりと下ろされた。

[雑記]野球観戦。

2006/6/26 月曜日

……昨日、グリーンスタジアムもといスカイマークスタジアムに野球観戦に行ってきたという話を暑苦しく書いた記事が、送信不可でふっとんでしまい、微妙にテンション落ち気味の御月ですこんばんは。…どうしよーかなぁ。
とりあえず顛末をお話するならば、相方がオリックスレンタカーでチケットをあて、人生3度目のスポーツ観戦となりました。つか、よく考えたら、一度も金出してないんだよなー。1度目は高校生だったときかな、後輩のコネで部活の友人とオリックスの試合を観に。まだイチローが居て、ピッチャーが星野だったことは覚えています。で、2度目が昨年夏だったか、横浜で行われたサッカーワールドカップ予選・日本vsイラン。これはキリンビールのチケット応募であたったものでした。で、今回。チケットは内野自由席で、バックネット裏近くのいいところで観戦することができました。
常に追う展開で、しかもランナーを出しながら1点追加できない状況に、非常にストレスがたまりましたが、まぁそれなりに楽しかったと思います。個人的には、何度もチャンスに打席が回ってきながらすべて打てない代打4番・谷に非常に不満がありますが……まぁ、ね。近くの席に居たおねーさんも「なんで清原出さへんねん!」と非常にご立腹でしたが。
一応オリックスのホームということもあり、オリックス側の声援が非常に熱かったのですが…その中でも、敵でありながら新庄と小笠原だけは、近くからも歓声が上がっていたのが印象的でした。新庄はわかるけど…小笠原? 御月としては、WBCに参加してたよなぁ確か…という記憶しかないんですけど、それ以外に何かあるんでしょうかね。
あと、土曜日の夜ということで子供の姿が多く見られたのが印象的でした。少年野球か何かで集団で来ていたんですかね。選手の声援で、子供の高い声がよく響いていたというか耳に届いたというか。6回か7回を過ぎて、帰る人も居たのですが、そうして空いた後わりとたくさんの子供が2階内野席のフェンスにかじりつくようにしてたのが、かわいかったです。サッカーも人気あるけど、やっぱり野球の人気は根強いなぁ、としみじみ思いました。

[雑記]感想。

2006/6/24 土曜日

今日たまたま親と一緒にお茶をしていて、その時に「10年単位で考えればびっくりするぐらい強くなっていると思う」と言ったら「気が長い話だな」と笑われた御月ですこんばんは。…えぇ、サッカーの話です。そろそろ解禁してもいいかなぁ、と。
結局ワールドカップ本選で一勝もできませんでしたが、それでも進歩だと思ってます。もちろん、オーストラリア戦は勝てた試合だったと思っていますし(終了間際10分で3失点てありえねー)、クロアチア戦でも勝ってもおかしくない試合だったと思っています。もっともクロアチア戦においては、逆に「負けてもおかしくない」シーンもてんこもりでしたが。
最終的に1分け2敗で、まぁあちこちで批判されることも多い日本代表ですけれども、それでも、前々回のフランス大会はやっとの思いで本選出場し、結果3戦全敗だったことを思えば十分です。前回はほら…ホスト国でしたからね。
今回、危うげなく本選出場を決めたことを思うと、日本代表は「ワールドカップに出場する」というレベルには十分達していると思います。ですからこれからは、「決勝トーナメントに進出する」レベルを目指せばいいわけで…まぁ、あと10年ですかね。それぐらいの期間をかけて、着実にレベルアップしていったらいいなぁ、と思っています。

今年のワールドカップ、まともに見れたのは時間の関係でクロアチア戦だけだったんですけど…素人ながらの感想を言えば、足りないのは多分に気持ちのほうかなぁ、と。技術を後押しする闘志、積極性…そういったものでしょうか。「俺にパスを出せ、きめてやる」といった前を向く気持ちが、あんまり見えなかったというか…。特に後半では、もちろん体力的に厳しいのだと思いますが、それでもパスに対してあと一歩、踏み込む気持ちが欲しかったかなぁ、と思いました。いや、なんかそういうシーンが多かったような印象があるもんで。ボールに届く後一歩の距離を縮めるのは、決してテクニックや体力だけではないと、御月は思っています。

…とまぁつらつらどうでもいい感想を書き連ねてしまいましたが……これからの後半戦は、血圧も上げずにまったりと観戦しようと思っています。やー、どうしても日本戦見てると手に力が入って、なんかもう頭に血が上るような感じになっちゃうんですよねー。

とりあえず選手の皆様、お疲れ様でした。

[雑記]顛末最終。

2006/6/22 木曜日

これが最後になりますが…実際のところ、この部分が一番書きたくて、だらだら続けたようなものです。

夕飯を頂いて休憩してから、夜中に鳥取を出て神戸に帰ることになりました。行きは相方の予定があったので割合急ぎましたが、帰りは何しろ時間にゆとりがあります。予定などほとんどありません。レンタカーの返却予定時間は夕方なので、急いで帰ったところで何の意味も無く時間に余裕があるのです。

猫さん。ということで、ほぼすべての道の駅&パーキングエリアに止まり、だらだらしながら帰ってきました。おかげでいいものがたくさん見れました。写真の猫さんは一例です。とはいっても、なんとか写真に撮れたのもこの一枚だけなんですが。
道の駅で居ませんでしたが、パーキングエリアにはやたらと猫さんが居ました。記憶にあるだけでも2箇所…かな。この猫さんはあまり驚かないタチのようでして、ベンチの下に座っている猫さんにそうっと近づいても逃げませんでした。おかげで写真に撮ることができたのですが。
他の場所でも大勢の猫さんをみかけたのですが、さすがにこの黒猫さんほど人馴れはしていないようでして、撮れる距離まで近づけさせてくれませんでした。とはいえ、普段からえさをもらったりしているのでしょうか、普通の野良猫よりは近づくことができたと思います。…パーキングエリアにこんなに猫が居るとは知らなかったよー…。

余談になりますが、帰り道、道の駅から道の駅へ走っている間に、野生の鹿に遭遇して(しかもたくさん)…なんというか、世代間格差ならぬ地域間格差というのでしょうか、それを実感しました。相方に言わせると鹿の存在は珍しくないそうで、実際一箇所だけでなく、数箇所で鹿の群れを目撃しました。道路での動物との交通事故も、犬・猫か鹿・狸かで都会と田舎を分けることができるのではないか、という話も。
奈良以外で鹿を見たことが無かった御月にとって(何しろ神戸から出ることがほとんどありません)かなりの驚きで、のんきに「鹿かわいい~」などと思いましたが…これ、地元の農家の人にとっては「かわいい」じゃすまない事態なんじゃないですかね。結構、民家の隣の空き地でむしゃむしゃしたり、庭の木にも目を向けたりしていたようですから。農作物を荒らす動物と農家の人には、きっと深くて暗くて超えられない溝があるんだろうなぁ、とぼんやり思いました。

[雑記]移転。

ということで、さっくり移転した御月ですこんばんは。

まだブログの記事などは移せてませんが、おおまかのコンテンツは移転しました。…できてるはず、だよな…? 一応、ローカルで作ったファイルをまるっとアップロードした後、ブログのインストールと拍手のパーミッション変更などを行いました。拍手はきちんと稼動できている(確認済み)なので、何か不備があれば拍手からご連絡ください。

WordPressでサーバ移転などについてフォーラムを漁ったのですが…なかなかこれがはかばかしくなく。つか、フォーラムの話題で「インストールしたあとサーバを移転しようかなと思ってるんですけど、どうすればいいですか?」的な話題がひとつも無いってどうよ。「インポート」をキィワードで探しても、大半がMobableTypeからのインポートに関する話題で、WordPressからWordPressというのはひとつしかありませんでした。しかもそのひとつが、PHPMyAdminでデータベースをバックアップという……。
一応そのやり方を試みて、半分近くはうまくいったのですが、何しろ仕事備忘録にソースコード書いたりしてますから。そのあたりでどうも、記事の記述がひっかかったようで、肝心の記事がデータベースからインポートできませんでした。
なので、今日以降地味~にこつこつ、人力で記事を移動させようと思ってます。……えぇ仕事備忘録は抜いて。

[雑記]顛末其参。

2006/6/20 火曜日

最近睡眠時間が異様に長い御月ですこんばんは。というよりも、「今日は」といったところかもしれませんが。それにしたって、12時間以上寝て「まだ寝れる」と思いましたからね。仕事がなければ、本気で丸一日寝てたかもしれません。…時間を無駄にしすぎだ。
メールボックス見ると、書きかけのまま遅々として進まない師匠への返事もあるし……なんかもう、人間としてだめだろ、と改めて思いました。

拍手御礼。
20日0時:ありがとうございます~♪ リムはねぇ…いいコですよねぇ。戦争が長く続いたでしょうから、きっと誕生日もひとりで迎えたに違いないと思って書きました。そんできっとおにいちゃんも遠くの空を眺めながら、ひとり心の中でお祝いしているんですよ! 個人的にはアレニア&ザハークに関しては異論あるだろうな、と思ってます。猫さんに関しては御月が極度の猫スキーのため、今後も増えると思います。なにしろそのためにデジカメ買いましたからね!

 

…で。あいも変わらず鳥取旅行見聞録というか…駄々漏れ感想。
あやめ池。腹も満たされたところで、あやめ池に行きました。正確には湯梨浜町のあやめ池公園ですか。投入れ堂は残念な結果でしたが、こちらは運良く見ごろのようで、あやめが大変綺麗に咲いていました。あやめというと花しょうぶ、紫色のものしかないという固定概念があった御月にとって、白や黄色のあやめは驚きでした。で、ばしゃばしゃ写真を撮る御月を置いて、花に興味が無い相方はさくっと公園を一周し、早くも帰りたそうにする始末でして……ま、男の人にとってはそんなものかもしれませんが。

あやめアップ。それにしても、「いずれあやめかかきつばた」という表現も納得の美しさでした。やわらかく繊細な花びらが、ふるふると風に震えるさまは可憐でしたしねー。桜とはまた違った繊細さがありました。素人の腕ではその美しさをあまり伝えられないのが残念です。もっと努力しなきゃなー。

 

コーヒーと団子。で、その後行ったのが、打吹(うつぶき)公園団子本店の喫茶店。相方と相方のご両親とが口をそろえて「中国地方で一番の和菓子」とほめた立てる打吹公園団子ですが…確かに美味しい。つか、帰省するたびに土産と称して買ってくる(そしてそれをほとんど一人で食いきる相方…)のですが、「お土産」用ではない、作りたての団子は美味しかったです。御月が行ったときはちょうどコーヒーに団子をセットにするキャンペーン中で、御月は炭焼きコーヒー(+団子)を注文しました。炭焼きコーヒーというだけあってびっくりするほど苦かったのですが、お団子の甘みがちょうど打ち消すような感じで、美味しくいただけました。

…で、まだまだ続くんだなぁこれが…。

[小話]現の夢

2006/6/19 月曜日

『お誕生日おめでとう!』

 皆が唱和するその声に、リムスレーアはぱちりと目を開いた。
「……は、ぁ…」
 起き上がって窓の外を見ると、煌々と満月が輝いていた。人の世がどれほど乱れようと、心がどれほど荒もうと、天は変わらず美しい。それがかえって、かつてとまったく違う自分の有様を思い知らせるように思えた。
 一年。たった、一年前だ。
 時が過ぎ去るのはあっという間で、言葉にすればもっと短い。けれどその間に、リムスレーアの周囲はまるで変わってしまった。
 厳しく…けれど優しかった母も、豪快で陽気でおおらかだった父も既になく。
 穏やかで、我侭ばかりの自分を受け止めてくれた兄も、兄の傍らに常に控えていたリオンも。姉のように自分を守ってくれたミアキスだって…遠くへ、行ってしまった。
「………夢であればいいのにのぅ…」
 彼らばかりではない。
 一見ふざけているように見えるけれど、意外としっかりしている(らしい)カイル。
 漠然と『祖父』とはこのような感じだろうか、と思っていたガレオン。
 アレニアとザハークだって、生真面目で融通が利かないけれども、それでも不器用ながらも自分を大事にしてくれていることを感じていた。
(…さびしい…)
 声には出さず、小さく呟く。太陽宮で変わらず仕えてくれる侍女は多い。けれども、親しかった者のほとんどが、遠く兄の下に集っている。そして………叔母を含め、残ったものはあまりにも変わってしまった。『反乱軍』と公的には称される兄の軍の勢力が増えるにつれ、それは顕著になっているように思える。理想にとらわれるあまり、肝心の『女王』リムスレーアさえも視界に入れず……生き急いでいるようにさえ見える叔母達の姿は、まるで死期を目前にした者のようで、悲しかった。
 夢で見た去年の出来事はあんまりにも幸せで、現実のほうがむしろ覚めない悪夢のように思える。幸せだった頃の毎日を夢で思い返すたびに、いつまでもそれに浸っていたくなるけれども、それを自分に許すわけにはいかない。
 傀儡であろうとも、女王である自分には。
 だから。

『お誕生日おめでとう!』

 心は近くても体は遠く離れてしまったものたちの、そして体は近いけれども心が遠く離れてしまったものたちの、喜びの言葉を記憶の箱からそっと取り出して。
 リムスレーアは束の間の幸せに身を委ねた。

[雑記]顛末其弐。

最近サイトのお引越しを検討している御月ですこんばんは。またか、と思われそうですが…実際『また』なわけですが。WordPressのサーバ移転とかって楽なのかなぁ…。
お引越し自体は前々から気になっていたんですけどね。何しろ現状は、仕事の事務所で同人誌作ってるよーな有様でして…来客が無いからいいというものでもなく、なんとなく後ろめたいというか。遠慮する必要はないと相方から言われてはいるのですが、一度気になると落ち着かなくなってしまいまして。
ということで、どうせだから独自ドメインとりました。移転自体はまた後日になりますし、大陸記などコンテンツの一部は残したままになると思います。大陸記はねー…正直なところ、掲示板などCGIの再設定が面倒なので。

ということで唐突に旅行顛末其の弐。こういうのって、帰ってきてテンション高い状態でやらないとぐだぐだになるのですが(既になってますが)、まぁ、『其の一』だけってのもすわりが悪いので。でもぶっちゃけ、飽きてきた部分もあるので簡潔に。

土蔵。三徳山に登って昼食は倉吉の土蔵そばに行きました。御月はこういう…旧街道とか、いかにもな民芸品店とか大好きなんですよねー。骨董品とかね。母方の実家がある長野へ行ったときも、海野宿へ寄ったことがあるんですが…なんか独特の光景なんですよね。ふらふらしているだけですんげぇ楽しいです。

お店。特に遅いお昼ご飯をいただいた蕎麦屋さんは、民家を改造したつくりになってて、1階が民芸品店、2階に喫茶店と蕎麦屋さんというつくりになってました。階段とか…全体的にこう、「旧家」って感じでね。今新しく同じような感じの建物作ろうとしたら、確実に消防法に引っかかるんだろうなぁ…。神戸北野にあるにしむら北野店に行ったときも、「あー旧家を改造したのかなー」などと思ったのですが、洋風・和風といっただけではない違いが面白いというか。御月は家に関しては「金ができたら和風の縁側のある家が欲しい」と常々思ってるので、こういう家に住めたらなぁ、と思いました。…多分不便かもしれないですけども。

蕎麦。肝心の蕎麦はむっちりしてて美味しかったです。十割蕎麦なのかなぁ…。ちょっと広めなんですけど、それがいかにも「手打ち」って感じで。
…というか。蕎麦に限らず麺類が根本的に大好きなんですけど、神戸で美味しい蕎麦屋さんってどなたか知りませんかね。自力で捜し歩くにはパスタ屋とラーメン屋で手一杯なもので。ちなみに御月は面妖なところで好き嫌いがあって、ざる蕎麦は大好きだけど掛け蕎麦は大嫌いだったり。…なんじゃそりゃ。

 

…えぇ、まだ続きます。

[小話]色褪せた月。

2006/6/14 水曜日

 はっきりと言葉にできるほど、認識できるものでもない。それでも、微かな違和感を覚えて、ヒューゴは空を見上げた。群青の夜空に紗のように薄く雲がかかっているが、満月のあふれる光を遮る厚さは無い。冴え冴えとした清浄な光が、草原を明るく照らしている。
 いつも、見ていた月だ。ついこの前までは、この草原を離れ、湖畔の古城で見上げていたけれども、その美しさにいささかの翳りも異変も無い。
 …無い、はずなのに。
「……おかしいなぁ…」
 あわただしい毎日の中、それでも暇を見つけては星空や月を眺めていたときに比べて、なんだか色褪せて見えるのだ。もっときらきらと、綺麗に輝いていたはずだったのに……どこか、くすんでみえる。それはきっと、雲のせいばかりではないはずだ。ビュッデヒュッケ城だって、いつでも晴天だったわけではないのだから。
 だとすると、何が理由だろう。
「うーん…」
 街の明かりは往々にして夜空を邪魔するのだと聞いたことはあるが、ビュッデヒュッケ城に比べればこちらのほうがまだ真の闇に閉ざされている。良いか悪いかはさておいて、天然の光源を打ち消すような、無粋な人工の光には乏しい。草原のところどころから響く虫の音だって、ビュッデヒュッケ城のいつまで続くとも知れない酒盛りの騒ぎに比べれば、随分と控えめだ。
(………なんてね)
 本当は理由をあげつらうまでもなく、知っている。
 淋しいと、駄々をこねるほど子供ではない。頻繁に手紙のやり取りはしているし、きっと彼女は彼女でこの月を見上げているかもしれない。
(…けれど、隣に居ない)
 寒いときは毛布を分け合って。城の屋上で横になって、一緒に夜空を見上げていた彼女は、自分の隣には今は居ない。視線を天から地面に下ろしても、月光を紡いだ銀の髪も水晶より透明な菫の瞳も、ほんの少しだけ垣間見える花のような微笑も、見ることはできない。
「俺、自分でもっと図太い人間だと思ってたのになぁ…」
 隣に彼女が居ないというただそれだけで、満月でさえも色褪せて見えてしまうなんて、随分と繊細になってしまったものだ。軟弱になったとは思うけれど、きっとそれは悪い変化でもないのだろう。
 それだけ、心を預けてきている証だと思えば。
 さらさらと、前髪を風に遊ばせて静かに双眸を閉ざす。しばらくしてすっと開けられた瞳には、凛然とした決意が宿っていた。
「明日から、がんばらなきゃね」
 淋しいと思うのならば、手を伸ばせばいい。隣に居ないのならば、迎えに行けばいい。
 そのために、今はなすべきことを。
「…よし」
 気合を入れて、とりあえず家へと向かう。まずは母に逃げ出したことを謝って、それからきっとこってり説教されて。明日からはまじめに、時期村長として本とにらめっこすることになるに違いない。今日まではそれが嫌で、何かと口実をつけて逃げ出していたのだから、不思議がられるだろうけれども。
 母の跡を継ぐ予定は無い。真の紋章を宿し、人ではなくなったものが村を纏めるというのはどこか不自然だし、何よりもクリスとの約束がある。けれども、既に十分「大人」であるクリスとともに歩くのであれば、少なくとも中身だけは大人に負けないようにしておきたかった。
 もう一度だけ、振り返って空を見上げる。薄く金色に輝く月は、いつもと同じように綺麗であることには間違いないけれども、それでもやっぱりどこかくすんで見える。
「がんばるからね」
 いつか、色褪せない月を一緒に見るために。

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